第二話

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 通勤ラッシュのその時刻、電車に撥ねられ死ぬのが一番素敵ではないかと考えた。 「痛いかなあ」  そんなことをぼんやりと考えた。  不思議なことだが、できるだけ痛い思いをしたいと思っているところもあった。  それが自分が受けるべき罰のような気もしていたからだろうか。  それとも、できるだけ苦しんで死んだ方が、呪いをこの世に残せるかもしれないと思ったためだろうか。それはもう分からない。 「朝八時過ぎの電車……。『月曜日は重たい日』――」  カレンダーに目を動かすと、次の月曜日は五月二十七日だった。  この日にしよう。そう決めた。  ロシアの人も、月曜日は憂鬱にしているくらいなのだ。  月曜日がいい。そうしたら、この自殺がロシアまで届くような気がした。 「みんな、そんなに月曜日が嫌なら死ねばいいんだ。私みたいに」  みんなが出来ないことを率先してやってあげようと思った。これから先、毎週月曜日に多くの人が自殺をするように願いを込めた。  ひじりは、無邪気な子供のころのように、煌めく瞳をしていた。  とても、自殺をしようと決意した少女の顔とは思えなかった。  やはり、フィクションとノンフィクションは違うなと、他人事のように思った。
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