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誰も助けてくれなかったこと。
その後も反省している人が誰も居なかったこと――。
全てを伝えて、ひじりは言葉を待った。
ひじりが倒れた日、そんなことがあったことを知らなかった母は、涙を溢れさせて担任に激昂していた。
担任は、葬式に並ぶ参列者みたいに深刻な顔を作り上げて、「申し訳ありません」と謝るだけだった。
「クラスのみんなにはしっかりと注意をした。来週から、もう一度登校してみないか」
担任は、ひじりにそう告げた。母親は、ひじりの意見を尊重すると言い、ひじりの回答を待った。
ひじりは、その時、なんとなく考えていた。
――注意をした?
それで解決になるのだろうか。月曜日に学校に行き、クラスメートがみんな自分に頭を下げて謝るのだろうか。
そんなことが起こるはずがないのは明白だ。
また、そんなことがあったとしてもその謝罪は心からのものではない。
注意されたから、『謝る行為』を見せつけるだけなのだ。
謝ったから、はい仲直り。そんなに簡単に話がまとまるわけがない。そういう社会をみんなで作ったのだ。学校はその色が克明に浮かび上がる場所だと思った。
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