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「登校拒否は、時間が経てば経つほど、学校に行きにくくなるんだ。今ならまだ間に合う。やり直そう。先生も頑張るから」
懸命な説得をする教師、という雰囲気が目一杯出して、担任はひじりを真っすぐに見据えた。
その言葉が、真実かでまかせなのか、ひじりは判断できなかった。
感じているのは、この人はまだ信用するに至らない、という気持ちだった。
それに、担任の言葉の端々に、何か不誠実なものを感じていた。
もう一度顔を出せ、と言うことをとにかく一番に伝えたいらしい。
ひじりが最初に聞きたかった言葉は、そんなものじゃない。
私の声、そんなに変ですか?
虐めの原因になった声。
その原因を知ったのなら、まず、そこをどう思っているのか、ひじりに伝えてほしかった。
お前の声は、変じゃない。その一言が、この対話の中のどこかにでもあれば、ひじりは少しくらいはこの人の気持ちにも寄り添おうと思ったのだ。
今回の件で、ひじりが何に傷ついたのかを理解してほしかった。
しかし、担任は虐めの原因を掴んだものの、その原因は気にしておらず、虐めを行った生徒たちに注意をして、ひじりには早く学校に来いと告げるだけだった。
早く学校に復帰させたいのは、不登校の生徒を出してしまう失敗に怯え、虐めの対処を素早く解決させたいからではないのだろうか。
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