第三話

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 ひじりだってこの不登校の間、何もしなかったわけではない。ネットで色々なことを調べた。  公務員は減点制で評価されるのだそうだ。  失敗すると減点されて、経歴に傷を作る。今後の昇級などにも影響を与えるし、学校の評判も落ちてしまうから、学校側は虐めや不登校に対して非常に敏感なのだそうだ。  中には、学校に通っていない生徒がいるのに、その事実を隠すために、不登校の生徒を出席扱いにするような学校もあると知っていた。  教職員は聖職者などと言われているようだが、所詮は人間だ。  人間は、間違うし、不完全な生き物だ。教師だってダメな人間はダメなものだし、いい人なら、自然に心を惹かれるはずだ。  残念ながら、ひじりは自分の担任に対し、後者のような印象は持てなかった。  傷ついているのはひじりのはずだ。その傷の原因を知った時、その痛みに対して寄り添ってくれることを求めていた。  虐めの解決なんかはその後の話に過ぎない。  結局、その日担任の口からは、ひじりの声に対する言葉は発せられることがなかった。  本来なら、そんな担任の言葉に首を横に振って、不登校を宣言するものなのかもしれない。  だが、ひじりはその瞬間に思った。  決行しよう――、と。     
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