三話「王様の正体」

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三話「王様の正体」

 私たちは先ほどいた場所に戻る。あらゆるところに死体が生々しく散らばっていた。壁にまで赤い血飛沫が飛んでいた。争ったというよりも仲間割れみたいな死体の集団が集まって出来ていた。 「王様はどーこだ」とロゼは歌うかのように問いかける。 「王室かな。この階段を上った先だ」  私を先頭に駆け上る。そこにあったのは王室の部屋の中で寝転がる骨一体だった。その上には『これが今の王様の正体だ。王様のために死んで行け』と書かれていた。 「なるほど。みんな、これであんなことに」とリコ。 「お前らは死ななくてよい。俺は今からこのリーダーをロゼに譲る」 「は?何よ、急に」 「そして王に今、私がなった。だからこの国に起きてる今の状況はこれにて無効化になった。王の正体を知っても生きろ!!」と言い放ち、目の前の元王様の死体に置かれた紙を三、四回縦横に手で破り切った。 「なるほど。さよなら、王様」とロゼは言って部屋からみんな出て行った。  そして新たな紙に書く。 『先ほどの任務は無効。これより任務はこれを伝えること』、と。  それを何枚も書いて風に飛ばして行く。こうしてユダという王様から私が王様となり、今まで通りの平和になっていくのだった。ただ道端には今も敵は生きている。 -完-
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