第1章

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時期にござれば、多くの人足を投入して、関東に台風が来る前に終らせねばなりませぬ、今からですと3月半ばに初めて7月末までに完成すればよいでしょうと言うので、短期間だ、 と数千人の人足が必要になりますなと言うと、 関東近辺から集めれば直ぐに集められますと言うので、それでは勘定方に直ちに2万5千両を天満屋に渡すよう言いっけますと言うと、それはありがたい天満屋も直ぐに用意させて、 人足を集めましょうと言うと、綱吉がそうせい、それが上手くいけば次は相模原の新田開発じあと言うと御座所を下がったのです、柳沢が稲葉殿やる前に学者にやり方を指南して、 もろうた方が良いのではと言うと、 そうですな新井白石にでも聞いてみますかなと言うと席を立ったのです、横から利根川への放水路が5万両ごときで出来るはずがない、20万両だしても無理で御座るよと土屋正信、 が言うので、どうしてで御座るかと柳沢が聞くと、利根川は恐ろしい川で御座るよそんな事すれば水が逆流して川筋の田畑は総て流失して稲葉殿は10万石の内3万石を失います、 新井白石ごとき学者が分かるものかと言うので、 それを稲葉殿に教えてやりなされと言うと、そんな義理はありもうさん、高見の見物でもしていましょう、柳沢殿も人が悪いと言うと席を立ったのです、さすがわ3人の将軍に使え、 ている老人じあ総てを知っていると見える、稲葉もすこしは賂を渡せば良いものをとほくそえんだのです、稲葉は屋敷に天満屋を呼び放水路の件を話すと、2万5千両ですかと言う、 ので、 相模屋を印旛沼干拓に引き込んだ柳沢の仕返しじあと言うと、相模屋は上杉に返ってこない4万両をつぎ込み、印旛沼に5万両、全部で9万両もつぎ込まねばならん、もう財力は残っ、 てないだろう、お前が損したのは高々1万7千500両じあ、2万5000両如き余力はあるだろうと言うと、しかし、2万5千両で済むのですかと聞くと、台風が来てしまえば工事はパア、 になる、 その前に終らせば問題ない、幕府からは直ぐに2万5千両が出る、それで数千人の人足を集め、そなたの2万5千両で資材を調達して一気にやれば良いと言うと、わかりました直ちに、 準備して3月半ばには工事に入れるようにしますと言ったのです、米沢藩の国元では千坂兵部がみんなを集めて9万両の借財の手当てはして来た、みなの禄を借り上げる事はないと、 言うと、
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