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さて、未夏は晴れて自由の身になれたわけですが。それが束の間のものであると、彼女はわりとすぐに知ることになる。
(小うるさい小人がいなくなると、こんなにも心おだやかになるのね。心なしか足取りも軽い気がするし…)
「…か、未夏!」
声がかけられた気がしてふりむくと、そこには。
「あ、皐月にさらら。」
「大丈夫?」
「ん?」
皐月は心配の中に幾らかのいらだちを含ませつつ言う。
「ん?じゃないわよ。ボーっとしてたからさ。…もう授業だよ?」
時計をみると、あと1分で放課がおわるところだった。
「まあ…ちょっとね」
「そっか…。私たちにできることなら、なんでもいってよね」
別になんということもなかったのだが、もしかしたら知らないうちに疲れていたのかもしれない。彼女は、素直に頷く。
「うん、ありがとう」
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