~記憶の在処~

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何かから逃げるようにして廊下を駆ける男子生徒が一人。そしてそのまま、階段まできて―― 勢いあまって、ごっちんこ。 未夏にぶつかった男子は尻餅をついて、 「ったたた…えと、大丈夫?」 「だ、大丈夫なわけないじゃない!」 結構痛かったのでつい、本音をもらしてしまう未夏。 「ほんっとごめん!このお詫びは必ずするから!」 じゃっと、また嵐の如く階段をかけ降りる男子。その背中が見えないくらいになる…その間際。 立ち止まって未夏の方に顔だけ向いた形で、 ゙名前は?゙ そう聞こえた気がした。 「渡来未夏!あなたは?」 ゙川上ジョーだー!゙ そう言うと彼は、今度こそ彼女たちの視界からきえた。
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