6人が本棚に入れています
本棚に追加
未夏は部活には入っていないし、特にこれといった用事もなく、ひまだ。…ないのだが、ひまにさせない神さんの計らいなのか、
時々不思議なことがおこる。
例えば、自転車のカゴに鳥が落ちてくる。
別の日には、正月でもないのに、同じようにいつのまにか羽子板が入っている。
その翌日、これでもう起きないだろうとカゴを外してみたら、周囲から奇異な目でみられる…。
そのまた別の…つまり、今。目の前に竹の子…と、やはり朝にみた小人がひぃふぅみい…よ…
(な、なんか増えてるー!)
と、こちらの視線に気づいたのか、小人たち―よくよく数えたら5人だった―のうち朝会った者が軽く一礼して、
「おめでとうございます!あなたはわれらの下につくことをゆるされましたー」
「へ?」
正直に言おう…意味がわからなかった。下につく…?だって、よくわからない生物がよくわからないことをいきなり言い出すのだ。思考がパンクしてもおかしくない。そんな未夏においうちをかけるように小人は事細かに説明した。
…かみ砕いて言うと。
・我らはあなたの恋のキューピッド、なのかな?
・それは竹の子の弓に筍をつがえて任意の人に放って大抵は心をひらいてくれるよ?
・その心の開きぐあいをボクらはレセプターとよんでいる、ね。ま、使えばどういうものかわかるさ!
「そんなこと、いきなりいわれてよしわかった!とはならないし…そもそも、いらないんだけど」
矢継ぎ早にいわれ、未夏は不満をもらす。
しかし小人はそれを見越していたかのように、「竹の子、使いきらないとちょっと困ったことになるんだよねー。」
「それって?」
「…とにかくね、使ってくれないとこう、呪い的な感じで?竹の子みたいに枯れそうになったりして?困るのさ!ボクらも!あなたも…たぶん!」
「えー?」
さあ!さあ!さあ!
小人たちがここぞとばかりに合唱するその姿は、セールスマンの押し売りのようだった。
はあ…とため息一つ。
そして未夏は、
「……しかたない、か」
と承諾してしまった。
わーいわーい!
口々に喜ぶ小人たちにききたいことは山程あったが、学校で疲れていたのもあり、家に帰ることにした。
(今のうちに逃げよ。あ、竹の子の弓矢わすれたけど…まぁいっか)
最初のコメントを投稿しよう!