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~記憶の在処“続”~
一方、俺(魂)ことアリベルはというと、上から吊られた頑丈な糸に手を、足を拘束され操り人形のような風体になっていた。
なぜこんなことになったのか。それはかれこれ数十分前までさかのぼる。
俺は朝、いつも通り未夏と登校した。
そしていつも通り、小人なりに学校生活をたのしく送ろうとしたのだが。
小人の彼――群青寺に少し話があるという旨で1階倉庫に呼び出され、俺は突如垂れ下がってきた糸に捕まった…。
思えば昔にも、こんなことがあったような…。
これは小人の、アリベルの記憶か。
繰り返しアリベルにあらゆる悪戯をしていた小人、ある意味では小人らしいとも言えよう。名前は、なんだったか。
『そいつの名前はトーサクだねっ』
と、アリベルの残留体が答える。
「トーサク?」
『うん、たぶんねー。そうだ、きみに見せたげよう。きっと、関係のない話じゃないはずだから』
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