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「はぁ.......」
議場を後にしながら、僕はため息をつく。僕が自分の意見を言うことで、取るべき対応が取れていないんじゃないか。そんな不安が頭をよぎる。
「おいおい、しっかりしてくれよ」
それを見てゴールドもため息をついた。
「お前がしゃんとしなきゃ、進む話も進まねぇんだよ。自分の思ってることがあるなら、自信持って言え」
「でも.......ゴールドの言う通りだよ。このままじゃ、コオニのことを理解する前に、僕らが喰い殺されてしまう」
うなだれる僕を見て、ゴールドも何かを思案する顔になる。
「コオニの言葉が分かれば、俺だってお前の意見に賛成なんだ。会議ではああ言ったが、俺だって出来ることなら戦争はしたくない。これ以上仲間が死ぬのは、ごめんだ」
それだけ言って、ゴールドは去っていった。彼には狩りの準備がある。セカイの二階は完全にコオニに支配されたが、一階は僕らの陣地だ。だが、コオニたちはそこに盛んに攻撃を仕掛けてくる。
ゴールドたちが命を懸けて産み出した時間を、僕たちは議論に使っている。来週総会に現れないのは、ゴールドだったとしても不思議じゃない。
悠長に考えている時間は、ない。
僕はたった今閃いた、ひとつの大胆で危険な考えを実行するために、足を前に進めた。
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