103人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
3時のお茶を飲みながら、高雅は沈んだ様子の瑞に気づいた。
「菅野くん、疲れた? もう少し洋服を見たかったけれど、後は靴を買って帰ろうか」
「あ、いや。そうじゃないんだ」
瑞は、思いきって子どもたちのことを打ち明けてみた。
「僕の靴はいいから、そのぶん星の子学園の子どもたちに何か買ってあげるわけにはいかないかな?」
「えっ」
「僕だけ、こんなに贅沢をさせてもらって。あの子たちにも……」
新しい髪形、新しい下着。新しい服、そして新しい靴。
夢のようなひとときが、逆に悲しくなってくる。
幸せは、喜びは、子どもたちと共に享受したい。
ささやかでもいいから、みんなと一緒に味わいたいのだ。
最初のコメントを投稿しよう!