トランジションスリー

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 絶好のタイミングで反撃の狼煙をあげてすみませんでしたと謝って欲しいのだろうか。その方法が自分の好みじゃないというだけの理由で? 「祐輔さん、お疲れです」  菊池という後輩の控え選手が僕の隣に腰かけてきた。渡されたドリンクを僕は素直に口にする。 「監督、あの形はレイアップかゴール下の合わせしか許しませんもんね」 「知ってる」と僕は言った。  そして目隠しするようにタオルを被って汗を拭った。  確かに僕は知っていた。監督はこういう自分の指示を無視したプレイを容認しない。しかし、今まさに負けようとしている試合の終盤で、結果が伴ったこのアプローチをどのように否定していられるのだろうか。 「もう無理だ」と僕は思った。口には出さない。  タオルの隙間から試合を見ると、相手にこの試合中何度もやられたセットオフェンスから追加点を許すところだった。  
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