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「ちょっと待てよ!」
ロッカールームの整理もそこそこに、ひとりで帰宅しようと歩いていた僕を生石直人が呼び止めた。長身長のイケメンポイントガードだ。彼に対しては少しばかり悪いと思う。
「なんだよ。言い訳はしないぜ」僕は歩みを緩めなかった。
「いいやしてもらう! まったく意味がわからない」
どうやら諦める気はないらしい。僕はたまたまあったハンバーガーショップを顎で示した。
「それじゃあ買い食いでもしていくか?」
「望むところだ」
「一応校則違反になるから、ばれたら退部になるかもしれないぜ?」
「望むところだ!」
まったく冷静に話せそうになさそうだった。
○○○
テーブルにフライドポテトを挟んで座り合った僕と直人はしばらく無言でポテトを齧り、手元のジュースをちうちうと吸った。
「それで、何を話せばいいのかな」
そのままでは時間ばかりが過ぎていくため、僕は直人にそう訊いた。直人は口を尖らせた。
「なんでバスケ部辞めるんだよ? ずっと一緒にやってきて、やっと3年生になったんじゃないか。どうしてもレギュラーじゃないと嫌ならおれが控えに回ってもいい、でも祐輔がそんなことを考えるとは思えない」
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