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「雲1つない快晴の青空を見ると虚しくならない?」
彼女は半ば独り言のつもりで呟いた。
窓の外を見ながら。
窓の外に広がる空は絵の上手な人が絵の具で塗ったようにどこまでも澄んでいる。
どこにも混じりけがない完璧な仕上がりだ。
リゾート地として有名などこかの南国にある、透き通るスカイブルーの海の映像をテレビで見たことがある。まさに今はああいう海が頭上に広がっているようだった。
「海も空も、どうして青い時はどこまでも透き通って青いのかしら。……でも、海の青を見てもそんなに虚しくならないんだよね。変なの」
半ば独り言のつもりだったのに、少しして彼女に返事が返ってきた。
「雲が1つも『ない』から、じゃないか」
彼女はどきっとして、返事をしてくれた――大好きな恋人の彼に、話し始めた。
「独り言もたまにはいい会話の種になるわね。見て、外」
相変わらず快晴の青空は悠然と彼女を見下ろしている。
星だったら「瞬きして」、微笑んでくれているのかなと思ってもいいかもしれないが、空に関しては果たして自分を見る目を持つのかさえも分からない。
瞬きをしてくれたら何か分かるだろうに。
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