LOVE is a GAME

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『紋世くん、聞いて!今日ね、大技成功したんだよ!』 嬉しそうに報告してくれた周。 『紋世くん、速ーい!すっごくかっこよかった!』 トラックを走る俺をきらきら光る瞳で追いかけてくれた周。 『紋世くん、大丈夫!?怪我、してない……?』 転んだ俺を自分のことのように心配してくれた周。 だけど、もう。 周は俺の隣にはいない。 ああ、そうか。 やっとわかった。 この二週間が楽しかったのは、隣にいたのが周だったからだ。 『紋世くん』 『紋世くん』 『紋世くん』 名前で呼ばれるのが、ひどく心地よくて。 でも、どこかくすぐったかったのも。 俺を呼ぶのが、周だったからだ。 バカだ。 俺は、馬鹿だ。 こんな形で、気づくことになるなんて。 『紋世くん!』 失ってしまったその甘い響きを、もう一度俺のものにしたい。 そのためなら、どんなことでもしよう。 たとえ、どんなに罵られても。 勝手だ、と。 信じられない、と。 背を向けられても。 俺は、何度でも言おうと思う。 「周」 「森野くん……?」 「好きだ」 「え……」 周がもう一度、『紋世』と俺に笑いかけてくれるその日まで。 「俺、周が好きだ」 fin
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