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部室の扉が三度控えめにノックされ、遠慮がちに開いた隙間から周が顔をのぞかせる。
少し視線を彷徨わせ俺の姿を見つけると、淡い笑顔の花を咲かせた。
「紋世くん、お待たせ」
「おう」
あの日以来、体操部の練習が終わると、周が俺を迎えにくるのが日課になった。
呼び方も『森野くん』から『紋世くん』に変わった。
でも、それだけだった。
だってこれは、ただの罰ゲームなんだから。
「じゃあ、先輩たち。お先です」
軽く頭を下げると、一番奥にいた宇野先輩が意味ありげに俺を見た。
「森野、今日だよ」
「分かってます」
俺はひとつ頷いてから、周の待つ外に出た。
今日でちょうど二週間。
俺の罰ゲームが、終わる。
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