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寮まで遠くない道のりを、並んで歩く。
周はいつも、楽しそうだった。
体操部での成果を、嬉しそうにいろいろ話してくれる。
今日はこの技が上手くできたとか、部長に褒められたとか。
ひとしきり話し終えると、周は決まって黒い瞳をキラキラさせながら俺を見上げた。
「今日の夕飯なにかなあ」
「海老マヨ」
「え、嘘」
「嘘じゃねえよ。献立表に書いてあった」
「じゃなくて、なんで紋世くんが献立表見てるの?食い物ならなんでもいい、って言ってたじゃん」
「なんとなく目が行くようになったんだよ。お前がいつも気にしてるから」
「あ、そ、そう……」
周が、決まり悪そうに俺から目を逸らした。
耳が、赤く染まっている。
「どうした?」
「……なんでもない」
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