序章

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序章

 凄まじい風と水しぶきで周りがよく見えない。 最後に自分の暮らした世界をひと目見ておこうと思い、宙に巻き上げられる体をなんとかひねろうと努力する。 「振り向かないで。」  風と水しぶきの音に混じって、その声はやけにはっきりと聞こえる。  渦巻く水の隙間から一瞬だけ垣間見た、青い炎に輝く獣の姿はいつまでも脳裏に焼き付いていた―。
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