マクスウェルの魔女

00 シンギュラリティ

1つ確かなことがあるとすれば、みんな由璃のことが大好きだったということ。loveだったりlikeだったり、人によってその好きは多様な形をしていたが、異性にも同性にも好かれる、不気味なくらいに人気者だった。

誰とでもすぐに打ち解けてしまう由璃は、話上手で聞き上手。そして声をかけたのが誰であっても丁寧に対応する。

見た目が派手な人、素行が悪い人、内向的な人、由璃を前にするとスクールカーストなんて意味を成さなかった。良いか悪いかは置いておいて、由璃の前では全ての人間が平等であった。

自分のキャラクターや周りの目を気にせず喋ることができる、それは一部の人にとっては世の中の面倒なしがらみから解放されるかけがえのない時間となった。