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その日、妖精たちは王女様に何を贈るべきか相談し合っておりました。
「ついにこの日がやってきたわ」
「先日まで小さい花の蕾のだった王女さまが」
「やんちゃでこまっしゃくれた子供だったのに」
「今では大輪のバラのような美しさが花開いたわね」
「誕生日には何の祝福を贈ろうかしらね」
さざめくような言葉の波があたりに広がっていき、コロコロと鈴のような済んだ声音へと変わっていきます。
それは貴い血筋の方々でも、彼女たちからみれば可愛い子供でしかないようです。
「さて、贈り物は何がよろしいかしらね」
「歳を重ねても落ちない美しさは?」
「深いしわが刻まれたお婆ちゃんになっても国民に愛されるというのはどう?」
「それか、だれもが羨むほどの素敵な殿方との恋?」
「それだと王様のお眼鏡に適う王子さまはどうやって見つけるのかしら?」
腕を組み、首を傾げながら悩む妖精たち。
このままだと、王女様の人生に対する祝福が決まらない様子です。
「お姫様もただで攫われるほどぼんやりしてないからねえ」
「むしろ、幼い頃からみっちり教育されてるから」
「王様とお后様がみずから御教えになられたから、とてもしっかりなされてるもの」
「そのおかげでちょっかいかけても簡単には騙されてくれなくなったのは嬉しいけれど」
「ちょっと寂しいかなあ、妖精としては」
喧々諤々としつつも皆で悩み抜き、一刻が過ぎようかという頃。
「あ、これならどうかしら?」
ある妖精がいい案を思いついたようです。
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