遅れてきた天才

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川口は地元埼玉県で一番の強豪校埼玉明誠高校へ進学した。全中二冠の看板を引っさげ鳴り物入りで入学した川口はここでもすぐにエースの座を勝ち取った。一年生から入賞こそ逃したがインターハイの決勝まで勝ち残り、冬の全国高校駅伝では花の1区を走り日本人トップで走り切ったのだった。 「ニューヒーロー誕生。箱根それから世界へ。」 そんな川口を世間は囃し立てた。長らく低迷して陸上長距離界に彗星の如く登場した川口に世間の期待は大きかった。川口自身、高校を卒業した後は憧れの東西大学で箱根駅伝を5区を走り区間賞そして総合優勝する、そんな将来を思い描いていた。しかし、そんな思いとは裏腹に2年生に進級した川口の体に異変が起き始めた。練習は問題なく消化できるが大きな試合になると原因不明の腹痛に襲われ失速してしまうのだ。最初は一過性の事で、トレーニングで克服できると思っていた。しかし症状は改善されずむしろ悪化し、翌年の全国高校駅伝では1区を走り大ブレーキを起こしてしまったのだった。症状は3年生になっても改善されなかった。タイムは伸び悩み駅伝ではチームに迷惑を掛けた。「川口は終わった。」そんな声が世間が漏れ始める中、夢を諦めきれなっかた川口は監督に大学進学の相談をしたのだった。
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