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遅れてきた天才
「いつ見ても大きな空だな。」
雲一つない北海道の青い空。この空を眺めていると北海道には雨は降らないんじゃないかとバカなことを思ってしまう。事実、東西大学駅伝部は第三次合宿を半月程北海道で行っているが雨は1日も降ることなく予定通りの練習メニューを消化していた。秋から開催される学生3大駅伝に向けての大事な強化合宿で残りは7日間。いよいよ大詰めだ。
4年生になる川口はストレッチマットを宿舎前の駐車所に敷き入念にハムストリンを伸ばしていた。東西大学の合宿地は北海道の北東に位置する遠軽町という人口2万人程度の自然豊かな小さな町だ。かつて東西大学が15年前に箱根駅伝で優勝して以来ゲン担ぎで最終合宿はここで行うことが恒例となっている。宿舎の近くに土のグランドがありインターバルやペース走もそこで行う事ができる。
「午後練は30キロ走。ペースは20キロまでは3分30秒、20から25キロは3分20秒、ラスト5キロはフリー。合宿も終盤で疲れも溜まってきているから最後まで集中を切らさないようにな。」
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