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「モオォォォォォォ!」牛舎のさらに奥から、大きないななきが聞こえたかと思うと、ウリコより一回り大きな牛がのっそりと姿を現した。
「何だよ、ランチ。ずいぶんと朝寝坊じゃないか。いいご身分だなぁ。」
もう一頭の雄牛の魔畜ランチに向かって、愚痴を続ける。
「モオォ、モオォ」
「ふんっ、何か言いたげだな。確かに僕は月曜日という一週間の中で最も憂鬱な朝に、自分の本能に理性を持って制し、ベッドから立ち上がった訳だ。これから始まる一週間と言う長い旅路には、乗り越えなければならない障壁が多数ある訳だ。そんな現実を見つめると、めまいすら感じるが、グッとこらえてお前たちの空想をこうして回収する訳だ。わかるだろ?だから、これからお前の空想を回収し、朝ごはんでエネルギーを回収したら仕事場と言う戦場へ赴かなければならないのさ。だから今起きてきたお前に説教をされるいわれはないのだからな!」語気を強め、二頭の牛たちに一方的に言い放った。
「・・・ブフー」二頭ともミエルの言葉に呆れているようにも見えた。
「ったく。仕方ないよな。お前たちに愚痴っても・・・。さぁ、ランチも一仕事頼むよ。」
そう言って手にしたハンドベルを鳴らした。
カランカラン
その音を合図にランチからも空想が勢いよく飛び出した。
ブリブリブリ!ドスン!ドスン!
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