5人が本棚に入れています
本棚に追加
少女は自分の目を疑った。とうの昔に死んでいると思っていた人間がうっすらと目を開けたばかりでなく、かすかに頭をもたげたのだ。
「……ここ、どこ?」
人間の女は辺りを見回している。
右手の爪をこの人間の喉に突き刺せば、簡単にとどめを刺すことができた。
「こいつ、なぜ生きている?」
少女はわずかに興味を示し、右手を伸ばすのをやめた。まだ意識が定まっていない様子で、人間の女は不思議そうに少女の方を見る。
「あなた、名前は?」
少女は冷たい声で人間に呼びかけた。
「………?」
「名前を聞いているのよ、答えなさい」
最初のコメントを投稿しよう!