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「……エ、エリア」
エリアと答えた人間はまだ状況が把握できていない様子だ。
「あなた、湖の水を飲んで、どうして生きているの?」
少女は相変わらず冷然と問いかける。
「………?」
しかし、エリアは少女の言っていることが半分も解っていないようだった。まだ焦点の定まっていない藍色のきれいな瞳が少女の方から微妙にそれた方角へ向けられている。
「ふん、まあいい、殺そうと思えば、いつでも殺せる。しばらくは生かしておいてみよう。どうせここからは逃げられん」
変化のない日々を過ごしていた少女にとって、目の前の人間は絶好の退屈凌ぎに見えたのだった。
少女の瞳が妖しく輝く。それを見たエリアは再び意識を失っていった。
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