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「楽しんでるなー良二。」
どうやらご機嫌そうな様子の直樹。
必死に照れ隠しするも、直樹はお見通しの様でニヤニヤしている。
また携帯のバイブレーションが鳴ったとは思ったものの確認せず直樹と食堂へ向かった。
廊下を歩いている時も直樹は自分の事の様に嬉しそうにしている
「良かったなー。良二。俺は凄く嬉しい!」
「あのな。でも澤田と直接メールした訳じゃないからさ」
「そこはお前次第だろ?応援してんぞ」
「うっせー。」
食堂に着くや否や早速今日の日替わり丼を奢らされ
遠慮する仕草もなく直樹は、大盛カツ丼をたいらげる。
「で?これからどう攻め落とすつもりなんだ?良二君。」
「え?」
「え?じゃねぇよ!澤田の事だよ!」
「うーん。」
「うーんってなお前。折角スタートラインに立てたんだ。色々あんだろ」
「澤田と直接メールする・・・とか?」
「いいな!その意気だ!」
「でもさー。勇気ねぇわ」
弱気な僕の発言に直樹は、箸を止め呆れたように話を続けた。
「良二、別に俺は面白がってお前をこのグループに誘った訳じゃないんだぞ」
「わかってるよ。」
「お前にとって簡単なことじゃない事くらい百も承知。俺だって好きな子になんてどう打とうかなーとか悩むよ。」
「直樹でも?」
その一言が意外だった。誰とでも仲良く過ごせる直樹でも異性ではそうなるんだと。
「当たり前よ。俺達小心者だろ?」
「ハハ。言えてる。」
「きっかけなんてなんだっていいよ。同じクラスなら明日の課題なんだっけ?とかでもいいじゃん」
「頭いいね!」
「だろ?そっから趣味とか聞いちゃえばいいんだよ」
「そっか。そうするよ!」
「おぅ!頑張れよ!良二!」
嬉しそうに微笑んだ後、直樹は再びお箸に手をつけカツ丼を食べ始めた。
直樹からのアドバイスを早く実行したくて午後からの授業もまた頭に入らなかった。
次の休み時間に送ってみようかな。
いやでも帰り際に直接聞かれるのも怖いし。
やっぱり帰ってから送ろう。
長い1日を終え帰宅の準備をしていると直樹が迎えに来た。
「帰るか」
「・・・だな。」
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