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ダンジョン前・残党狩部隊中隊本部
死霊騎士率いるアンデッド、ブラッディマンティス、魔狼の混成部隊による統制された襲撃に蹂躙される第2捜索隊、彼等の惨状はアイリスの拡声魔法によってダンジョン前に待機している部隊に大音量で示されていた。
「おいっ軍曹はっ!?軍曹は何処行ったんだっ!?」
「軍曹は死んじまった早いとずらか……ぎゃあぁぁぁっ!!!」
「くそっ、隊列をっ!!隊列を崩すなっ貴様等死にたっ……ぐげえっっっ!!」
「く、来るなっ!!来るなっ!!っぎひゃぁぁぁっ!!」
「くそっ、何なんだっ!!一体何なんだこのダンジョンはっ!?」
蹂躙される第2捜索隊の断末魔の叫びは周囲を幾重にも包みこみ、将兵は青ざめた顔をしながらその声を聞いていた。
おぞましい輪唱は中隊本部をも容赦無く包み込み、中隊長やエルフ兵、魔導士達が立ち尽くし青ざめた表情でそれを聞く中、彼等に嬲り尽くされていたイライザは大木に縛り付けられた状態のまま冷めた表情でその様子を見詰めていた。
(……無様だな、部下の惨状になす術を知らぬとは、もっとも、このダンジョンの異常さを慮れば無理も無い事かも知れないが)
自分を嬲り尽くしていた彼等の急変ぶりに溜飲を下げていたイライザだったが聞こえてくる第2捜索隊の断末魔の叫びからこのダンジョンの異常さも察しており、先発した捜索隊に連れられて行ったエリーゼの運命についても暗い見通しを立てていた。
(この様子ではエリーゼはやはり……このままコイツ等が手を拱いていれば何れコイツ等と私も喰らい尽くされてしまうだろう……願わくばその時はエリーゼを喰らい尽くしたモンスターに喰らい尽くされたい、そうすればエリーゼと1つになれるのだから)
イライザが暗い表情で覚悟を決めた刹那、その覚悟を試すかの様に凄まじい爆発音が連続し、立ち尽くしていた中隊長は狼狽えた表情で周囲を見回しながら口を開く。
「……い、一体何事だっ!?」
「……も、モンスターですっ、あ、装甲火蜥蜴にグロスポイズンサーペント、そ、それに見た事も無いモンスターもいますっみ、南と西より接近中ですっ!!」
「な、何だとおぉっ!?」
中隊長が喚いていると血相を変えた伝令が飛び込んで来て凶報を告げ、それを聞いた中隊長が目を見開いて驚愕の叫びをあげる中更なる爆発音が連続して響いた。
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