1人が本棚に入れています
本棚に追加
機動集団
第2捜索隊の断末魔を聞かされて呆然としている所を第1及び第2打撃集団に襲撃された中隊本部は見ている此方が憐れみを感じる程に狼狽え、潜伏した木立の合間からその様子を見ていたアイリスは冷酷な笑みを浮かべながら口を開く。
「随分しっかりと狼狽えてくれてるわね、無様過ぎて滑稽なくらいよ」
「……なら、そろそろ頃合いだな」
アイリスの呟きを聞いたミリアリアは剣の柄に手をかけながらアイリスに声をかけ、アイリスは頷く事で応じた後に緊張した面持ちのエリーゼに向けて穏やかな口調で声をかける。
「そろそろ突っ込むわよ、周囲の雑魚はあたし達が片付けるわ、貴女は周囲を気にせず、大切な女(ひと)を救助する事だけに集中しなさい」
「……はい、分かりました」
アイリスの言葉を受けたエリーゼは自分を落ち着かせる為にゆっくりと深呼吸しながら返答した後に腰にさしたレザイエームの柄を握り、アイリスは頷いた後に後方に控える支援集団に視線を向けながら口を開いた。
「それじゃあ行ってくるわね、双角龍が出現して攻撃を始めたらそれに呼応して使役獣に攻撃を命じて頂戴、潜伏してる装甲火蜥蜴隊がそれに呼応してくれるわ」
「分かりました、御武運を」
アイリスの言葉を受けたラリッサは一礼しながら激励の言葉を送り、アイリスは頷いた後に視線を混乱する中隊本部に移す。
混乱する中隊本部では中隊長が何事かを喚きたて、それに呼応する様に中隊本部を守備していた軽騎兵達が慌てた様子で攻撃を受けている部隊への援軍として動き始めた。
「今よ、行くわっ」
中隊本部の意識が激しい攻撃と進発した援軍に集中したのを見てとったアイリスは短くミリアリアとエリーゼに告げた後に大鎌を手に駆け出し、ミリアリアとエリーゼも各々の得物を手に駆け出してその背中を追う。
アイリスとミリアリアとエリーゼは立ち並ぶ木々の合間を軽やかな足取りで駆け抜けて瞬く間に中隊本部との距離を詰めて行き、激しい戦闘に気を取られていた哨兵は近付く気配に気付いてその方向に視線を向けようとしたがそれよりも前にアイリスが大鎌を軽やかに振るってその首を刎ねる。
アイリス達は驚愕の面持ちを浮かべたまま切断され首が転がる中を風の様に駆け抜け、彼女達が駆け抜けた後に首を喪った胴体が音も無くその場に崩れ落ちる。
最初のコメントを投稿しよう!