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元々、親衛隊を持つ者は己の親衛隊へあまり良い感情を持って居ない事が多い。
愛の押し付け、勝手な持ち上げ、それを利用する者も居るが、ファンクラブではなく親衛隊となるまで人気な者は生徒会の人間などそれなりの役職にいる者が多い。
頼んでも居ないのに勝手にできた騒がしいそれに、あからさまに嫌な顔をする者も居て、実際九月も生徒会副会長であり、自分に纏わり付く親衛隊をあまり良くは思って居なかった。
それが三ノ宮の指揮の元、接し方を弁え、かつ押し付けがましく無く手助けをし、また己が守護する九月副会長の評価を落とさぬようにと励み慎ましやかに学園生活を送り出した親衛隊。
時間を掛けて、嫌悪や煩わしさを取り除き打ち解けた結果公認に等しく、廊下で会えば挨拶を返して貰えるし、手が足らない時などは九月から手を貸してほしいと親衛隊に依頼がくる位だ。
さすが九月親衛隊、主良ければ部下も良いと他の生徒や教師からの評価も高く、また隊員達も好きな人の迷惑になって嫌がられて居た今迄より、力になり認めて貰え、何より自分達の評価が九月へそのまま影響すると身を持って知れば、己をアピールするよりも得られる満足感と使命感に溢れ心を入れ替えざるを得ない。
今では恋では無く憧れで入隊する者も居れば他に恋人ができる者、しかも隊内カップルが出来上がり、皆で祝うこともある位にこの隊を素晴らしい物と成した三ノ宮を隊長として、隊員は心底尊敬している。
親衛隊隊長として副会長を助け、立場を護りつつ、数多い隊員達、それこそ恋に盲目状態の者を含めまとめ上げる手腕、しかし出しゃばらず偉ぶらない、その姿勢に崇拝レベルに突入して居る者や、三ノ宮に憧れての入隊すらも多いとか多くないとか。
隊長が有能なのは、他の隊から相談に訪れる者が尽きないのが物語っているだろう。
他親衛隊の幹部格から、下っ端まで、困った時の三ノ宮隊長とばかりに日々駆け込んでくる者は絶えない。
「あー、とりあえず昼飯食べてくるわ。カナちゃんは?」
「もちお供しますよ~!地の果てまでも!」
「あ、うん、地の果てに行く予定は無いし、カナちゃんが行くとしても誘わないでね」
いつものようにズレた会話をしつつ食堂へ向かう、九月親衛隊の中でも隊長副隊長の仲の良さは別格だ。
三ノ宮崇拝筆頭者はこの可愛らしい副隊長だったりする。
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