安定の王道

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「あ、でも塩屋様と言えば先程食堂で見ましたが……寝る気満々な感じで……」 内心気合いを入れて居たが、食堂に現れてそのまま机に突っ伏して寝る体制に入っていた、生徒会会計の姿を思い出す。 あんな騒がしい場所でよく寝れるなとは思ったが、居眠りだろうがなんだろうが一度寝れば気が済むまで寝る癖のあるので問題無いのだろう。 問題なのは、時間的にいくら敷地内とは言え寮に行っできたにしては食堂に現れる時間が早すぎると言うこと。 まだ様子を見に行っては居ない、しかし昼休憩途中に起きることも無いだろう。 「塩屋に頼んだ私が馬鹿でしたね」 思わず頭を抱えた九月に、何故面倒くさがりの塩屋様にとは流石の三ノ宮も言えない。 相手が九月でなければ多分鼻で笑う程度はしたかもしれないが、九月であればおいたわしや……と涙を拭うのが信者である。 「仕方ありません、昼食の時間を割けば余裕はあります。申し訳ありませんが途中少し席を外しますね」 「それは構いませんが、昼食を抜くのはお身体に障ります。せめて何か簡単に食べれる物を用意させますのでご持参頂くか、もし私で宜しければ変わりに見て参りましょうか?」 「一が?」 自分だって昼食は食べて居ないが、九月が昼食を抜くのと自分とでは大違いだ。 仕事を手伝うとは言え、できる量はたかがしれて居る。ならば自分が見てきた方が九月の負担は少ない。 とは言え相手は生徒会長で、こちらは所詮親衛隊、あくまで提案であり無理は言うつもりはない。 「……そうですね、他の者なら話になりませんが一なら大丈夫でしょう。お願いしても良いですか?」 「……はい!」 申し訳なさそうに、けれど頼むと言って貰えたその信頼に三ノ宮は思わず声を抑えること無く返事をした。 気にかかるから先に様子をと頼まれ、購買で幾つか飲料水やゼリー等風邪に良さそうな物を用意して、三ノ宮は生徒会長である綾川の部屋を目指していた。 綾川の部屋に行くなど、綾川親衛隊が聞けば発狂しそうであるが、三ノ宮にとって大事なのは九月のみ、いくら生徒会長でも、学園一のイケメンだろうが対した興味はない。
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