Happy Birthday 梨世ちゃん

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「尚くん」 「ん?」 「……私、あと何時間このままなの」 「ふふ……」 2時間前からずっと、尚くんに何種類ものコスプレを着せかえさせられている。 可愛らしい着ぐるみやキャラクターならまだしも、明らかに危ない網タイツのセクシー婦人警官とかナースとかもさせられている。 ――パシャっ 「あぁ、いいよ。梨世ちゃん……可愛すぎる」 「……」 「どうしよう、まだあと30着ぐらいあるの。梨世ちゃんコスプレコレクション非売品を僕のために作らなきゃいけないのにダメだ、可愛すぎて僕がもたないよ……」 「……お願いだからちょっと休憩させて」 「いや、冬なのにストロボに当たりながら汗の滴るキミも貴重だから休憩はお預け」 「じゃあ、夜もお預けだからね尚くん」 「……!それはやだ!!じゃあ10分ね、僕悶々としながら待ってるからね!!」 「え……」 かの有名なモデル事務所、Jupiter プロダクションの代表取締役社長であり、自らもモデルであり、一人息子の立派な父である木暮尚さんは、相変わらず妻の私をオカシいぐらいに溺愛している。 まなが産まれてからも関係なしに私への底知れないストーカー以上の執着心が常に表れていて、それを嬉しいと思ってしまう私も同じくらい、どうかしてると最近思う。 今日は尚くんが急に「キミの新しい可能性を見つけたから僕のための写真集をまた作らせてください」と本気でお願いされてしまったから、こうしてスタジオにいるんだけど……。 「……梨世ちゃん、好き」 「私も尚くん大好きだよ」 休憩から戻った途端、抱き締めてくる彼のことが結局私も大好きなの。
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