スィートバスタイム1

2/11
前へ
/22ページ
次へ
 担任するクラスは2年生で受け持つ授業は2、3年。だから、学校では滅多にひよと顔を合わせる事はない。たまに見かけると無意識に目で追ってしまう自分に少々驚いたりする。  危なっかしいから、保護者的な意識が働くんだろう、と自分自身に確認してみたりする。  そうだ、そうに違いない。  昼休み、キャーキャーまとわりつく女子生徒を適当にあしらい、なんとか撒いて喫煙室に逃げ込んだ。 「相変わらず大変そうですな、平田先生」  ロマンスグレーの世界史教諭がタバコを吸いながら話しかけてきた。 「はあ、すみません。いつもお騒がせして」  軽く頭を下げながらタバコをくわえた俺に、ライターの火を貸してくれた。  紳士で優しく、生徒にも人気のある先生だ。すみません、と言い火を貰う。 「いやいや、私の若い頃を思い出しますなぁ」
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

168人が本棚に入れています
本棚に追加