運命の出会い

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運命の出会い

その土地はしどけなくオレの前に横たわっていた。 何がエロいかと言われると説明に困る。が、住宅街に突如現れた、正方形のだだっぴろい空き地を見た途端、俺の眠っていた官能を呼び覚ましたのだ。 湿っぽい土の香り。時折ぽつぽつと生えている雑草がやけに初々しさをを感じさせる。 まるで少女がはにかんでいるような佇まいだ。 オレは人間の女が好きなはずではなかったのか。なんで土地なんかに欲情している? わからない。でもきっと土地だったらなんでもいいわけではないのだ。 だって、今まで空き地なんかいくらでも見て来た。なのにオレはただ通り過ぎるばかりだった。 でも、コイツは違う。しっとりとしてよく慣らされているこの地面に横たわり、ひんやりとした土の中に我が身を埋めてしまいたい。そしてコイツと一つになり、永遠に繋がっていたい。 コイツが無機物だからとか、土だとかそういうのは関係ない。そうオレはコイツが人間の男でも、女でも、犬でも猫でも植物でも探し出してきっと見つけてみせる??! それくらいオレはコイツに惹かれてしまったのだ。
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