忘れていた思い出

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「千紗ちゃんが悪い子なら、世の中の大半は悪い子だね!私も悠も!」 そんな私に栞がとびきりの笑顔を向けて言う。明るく言い切った栞は、小さい体で目一杯背伸びをして、悠人の様に栞も私を撫でる。 「…ありがとう、二人とも。大好き」 そんな二人の優しさは、ひどく胸に染みた。 「また暫く二人のお世話になります。宜しくね?」 二人に向き直り、今度は流れ出た涙を隠さず笑顔で伝えた。 これは悲しい涙じゃないから。 そして二人も笑顔でこう言うんだ。 「「大歓迎!!」」 こうして私は二人と共に、私の嫌いな家を背に歩き出した。
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