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「あら、千紗ちゃん!いらっしゃい!悠人から聞いてるわよ。暫くは家でゆっくりして行ってね?」
「いやぁ、千紗ちゃんが来てくれて嬉しいよ!またおじさんのゲーム相手になって欲しいなぁ」
「悠人のお母さん、お父さん。本当にありがとうございます。少しの間お世話になります」
迷惑をかけてしまうのは明らかなのに、そんな私を優しく迎えてくれた悠人の家族に向かって、私は頭を下げお礼を言う。
「千紗、気にしないで。本気でうちの両親喜んでるから」
少し呆れ気味の悠人が、ため息を吐いてやれやれという顔をしている。
その横で栞が家にも来て!と駄々っ子のように私の体を揺さぶった。
そして悠人がそれを止めさせる為に私から栞を引き剥がし、片手で栞の頭を掴んだ。
(アイアンクローでもしそうなポージングだな…悠人に限ってそれないと思うけど…)
悠人に無理矢理引き剥がされた栞が不貞腐れた顔で、ボソリと何かを呟く。
「ふんっ、悠の束縛男。そんなんじゃ千紗ちゃんに嫌われるからね…」
「……そんなこと、ないし」
「そんなことあるもん」
何を言ったかまでは私には聞こえないけど、二人で何か言い合っていた。
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