隠しきれない想い

3/26
54人が本棚に入れています
本棚に追加
/264ページ
「あら、千紗ちゃん!いらっしゃい!悠人から聞いてるわよ。暫くは家でゆっくりして行ってね?」 「いやぁ、千紗ちゃんが来てくれて嬉しいよ!またおじさんのゲーム相手になって欲しいなぁ」 「悠人のお母さん、お父さん。本当にありがとうございます。少しの間お世話になります」 迷惑をかけてしまうのは明らかなのに、そんな私を優しく迎えてくれた悠人の家族に向かって、私は頭を下げお礼を言う。 「千紗、気にしないで。本気でうちの両親喜んでるから」 少し呆れ気味の悠人が、ため息を吐いてやれやれという顔をしている。 その横で栞が家にも来て!と駄々っ子のように私の体を揺さぶった。 そして悠人がそれを止めさせる為に私から栞を引き剥がし、片手で栞の頭を掴んだ。 (アイアンクローでもしそうなポージングだな…悠人に限ってそれないと思うけど…) 悠人に無理矢理引き剥がされた栞が不貞腐れた顔で、ボソリと何かを呟く。 「ふんっ、悠の束縛男。そんなんじゃ千紗ちゃんに嫌われるからね…」 「……そんなこと、ないし」 「そんなことあるもん」 何を言ったかまでは私には聞こえないけど、二人で何か言い合っていた。
/264ページ

最初のコメントを投稿しよう!