忘れていた思い出

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あれから二日が経った。 悠人の家で目を覚ました私は、着替えも何も無い状態で来てしまったので、栞からの提案で二日間栞の家に停めてもらった。 着替えを借して貰ったりしてなんとか凌いでいたけど、これ以上長居するのは迷惑だ。 栞は気にしないでと言っていたけど、これ以上は申し訳ない。 帰りたくはないけれど、もう一度改めて話をする為にも一度家に帰ることを昨日決めた。 だから私は今日学校が終わったら、あの家に帰る。 それは昨日の内に二人にも伝えた。 二人共ひどく心配はしていたけど、今度こそ何かあったらその時は必ず二人に頼る事を条件に了承してくれた。 家までは二人が付き添うと二人は申し出てくれて、断ったけどそこは許してもらえなかった。 結局、帰り道二人に挟まれながら私は自分の家までの道を歩く事に。 (要人警護じゃないんだから、そんな怖い顔して挟まなくても……) 当の本人である私より怖い顔をした悠人と、怖い顔をしているつもりだけど怖くない栞にピッタリと挟まれている私は苦笑いしかできない。 帰りたくない気持ちがある為、足取りはひどく重くなったけど、着実に家に近づいていく。 二人は最後までやっぱり無理しないでと言ってくれて私を心配してくれる。戻ろうかという提案を断り、私は足を進め家まで着いた所で立ち止まった。 玄関のすぐ前に拓海が待っていることに気がついたから。
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