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彼の言葉には嫌味を感じなかった。彼はただ客観的事実を述べているだけだからだ。
「羨ましい限りだ」
レイヴは世辞ではなく心底そう思った。
ナナキはレイヴに無いものを持っている。そこに憧れを抱くのだ。
「俺なんか不器用が災いして喧嘩と開拓と宇宙の知識くらいしか無いもんだから。
色々出来て器用な方が何かと便利そうだ」
「いやあ、特化したものが無いと何かと決めるのに困るんだけどね。器用貧乏ってやつ。君みたいに自分に何が出来るかハッキリしてる方が羨ましいよ」
ああそういう見方もあるのかとレイヴは頷いた。目の前に好物がいっぱい並んでるのに1つしか選べないような話だ。それならいっそ不味い物の中に一個好物がある方が悩まなくて楽という訳だ。
「ないものねだりか。一点特化と器用貧乏、どっちが得するってもんでもないのかもな。そういや今回のテストの成績上位者ってもう見た?」
「ああ、1位がウィッカで2位はゲイルみたいだね」
「流石の2人だな、一生掛かっても敵う気がしねえや。ま、勝てなくても開拓者になるには関係ないけど」
「レイヴはなんで開拓者になりたいんだい?」
「開拓者になりたいって言うよりは他の星に行きたいんだ。こことは違う星を見たい。」
「他の星に行って何を見たいの?」
「それを見つけるんだよ」
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