抱きしめていいですか?

4/11
176人が本棚に入れています
本棚に追加
/141ページ
そんな折、昼休みに、珍しく華澄ちゃんが教室を訪ねてきた。 「夏美センパイ、ちょっと…。」 『うん…。 』 人気のない階段の踊り場まで移動する。 「ゴメンなさい、急に。大丈夫でした?」 『うん、全然大丈夫。何かあった?』 「あの、生徒会役員選挙の推薦人のことで、ちょっと…。」 『あぁ…やっぱり。』 「あの…推薦人、和美先輩にお願いしていいですか?」 『うん、いいんじゃない。』 「本当に?怒ってません?大丈夫?」 『うん、大丈夫だよ。』 「スッゴク迷ったんです、本当に。気持ち的には夏美センパイに…って思ってたし。でもここは、今までの流れとか、周りの目を考えたら、和美先輩なのかな?って。ゴメンなさい…。」 『ううん、大丈夫。伝えてくれてありがとう。わたしも、自分からは聞けないし、言ってもらってよかったよ。』 踊り場の窓から、グランドを眺めた。
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!