episode246  聖なるローブの下

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僕は出来れば誰の目にも 今のルカを触れさせたくはなかった。 僕の悪意がまんま取り憑いた今のルカ。 見たくなくて僕は攻撃した。 彼が立ち直れなくなるほど深く傷つけ できるだけ神から遠ざけてやろうと 僕はルカを穢し濁った沼底に突き落として堕落させてやったのだ。 それなのに――。 「なんで薫お兄様……ルカのことなんて気にするの?今更放っておけばいいじゃない。お嫌いだったでしょ?彼のこと……」 それを見られることはすなわち 僕の恥部を曝け出すことに他ならない。 「いまさら何言ってやがる。ほら、降りるぞ」 薫に腕を引かれるようにしながら 僕は渋々リムジンの後部座席から降りたった。 大学周辺ということもあり 夜になるとあたりはひどく閑散としている。 うすら寒い――身震いした。 自分の残していった悪意の塊が すぐ近くで僕らを見張っているように感じた。
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