episode246  聖なるローブの下

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キャンドルの厳かな灯り。 聖水の満ちた瓶。 マリア像のベールは純白だし 聖女に捧げる百合もまた純白だ。 しかしここは聖域だと示す数々の印を 曇らせる何か――。 そうだ。 ここには血の匂いが漂っている。 薫は敏感に感じ取っているはずだ。 だけど歩みを止めず祭壇の前まで歩いて行く。 僕はその後を影のようについて行った。 鳶色の髪はキャンドルに照らされるととびきり綺麗だ。 それだけじゃない。 罪を知りながらなお子供のように無垢な瞳。 繊細な鼻梁の影。 うっすら桜色の差す頬。 それこそバロック絵画に描かれた天使みたいに。 薫お兄様は綺麗だ。 「あそこにルカがいるのか?」 祭壇の奥にある小さな扉を顎先でさし示し 薫はこちらを振り向いた。 「ええ」 「ならどうして出てこない?」
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