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既に嫌な予感はしていた。
底なし沼のような暗闇に奴が息をひそめている。
それだけで十分――危険なのは分かるじゃないか。
だけど僕の油断はもしかしたらその状況を楽しむため。
危険を予想した上で意図的に醸し出したものだったのかもしれない。
自分でもよく分からないんだ。
薫がここに来ると言うのを止めなかったのも
実際のところどうなるか知りたかったからじゃないか。
今のルカと薫を会わせたら?
僕の悪意の血を吸って
本当に神を忘れかけたルカと薫を引き合わせたら?
何が起こるのか知りたかった。
それこそが僕の魔性たる由縁で――。
薫は火のついた燭台をかざし
天井から順に部屋の中を照らしていった。
灯りが足元に向けられた時ようやく――。
血溜まりの上に俯せに倒れたルカを見つけて
僕らは絶句した、
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