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「言っただろ……中で死んでないかって!」
突然の成り行きに頭を抱えた薫は
子供みたいに僕に八つ当たりして声を荒げた。
「だってそんなの……」
超能力者じゃない。
次に何が起こるかなんて僕に分かるもんか。
特にこんな予想外は――。
「彼はもっとタフだと思ったのに……」
抜け駆けして薫に電話するぐらいだ。
「それじゃ予想は大外れだな!」
薫は怒りに任せて突きつけるように僕に燭台を持たせ
自分は血だまりに膝をついた。
「おい!ルカ!しっかりしろ……!」
こういうところ。
うちの次兄が結局天宮家の兄弟の中では一番優しい。
汚れることも厭わず
薫はルカを仰向けにして抱き起こした。
両手首。
首筋。
胸元。
どこから出血してるのか顔を近づけ見定めている。
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