episode246  聖なるローブの下

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僕はといえば燭台を傾け 救世主の死を地で行くような場面を ただただ興味深く見つめていた。 と――。 黒いローブを着た胸の上で 逆さ十字がかすかに上下していることに気づく。 「息してるよ……」 「え?」 「ルカ……生きてる……」 薫が顔を上げるが早いか。 「うぁっ……!」 ほんの一瞬 苦痛に顔を歪めた薫は 「……薫お兄様?」 突然意識を失ったようにルカの胸の上に倒れ込んだ。 一体何が起こったのか。 分からない。 分かったのは倒れ込んだ薫と入れ違いに ルカがむっくりと身を起こしたこと。 手元に何か黒い物体を持っていて その口元には隠しきれぬ笑みが浮かんでいたこと。 「会いたかったよ。薫くん……」 「ルカ!薫お兄様に何したの?」 ルカは恍惚として薫の鳶色の髪を撫でながら ついでのように僕をちらりと見やった。
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