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ようやく瞼が持ち上がった時には
辺りは意外な明るさに包まれていた。
円を描くように
ぐるりと部屋の周りを取り囲んだ赤いキャンドル。
部屋の中央に敷かれた毛足の長いラグの上で
僕は目覚めた――一糸まとわぬ姿で。
そして僕の隣には
「薫お兄様……」
薫が横たわっていた。
こちらもまた見事に裸に剥かれて
ラグの白い毛足と違わぬ真っ白な肌を晒していた。
巻き毛の天使のような寝顔で
薫はまだ悪い夢を見ているようだ。
眉根を寄せたままピクリとも動かない。
そんな僕らの周りを足首まで覆い隠す黒いローブが
行きつ戻りつうろついているのが見える。
やがて僕の頭上で足が止まり
ルカは独り言のように穏やかな声音で囁いた。
「こんなことをしてはいけないと神様は言われるだろうな……でもそれならなぜだい?」
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