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僕を見下ろす気色ばんだ瞳は
それこそ何千年も生きたヴァンパイアのように深い愁いを帯びていて。
「なぜこんなにも……欲望に従うということが幸せなのか」
屈みこむとまだ動けない僕の頬を撫でながら
己を憐れむような歪んだ笑みを漏らした。
「あんた……僕の血を飲んだせいだと言ったけど……そんなの思い込みだ」
「何?」
僕はようやく首だけ持ち上げて
乾いた声でルカを挑発するように批判した。
「神なんか関係ない。僕は知ってる。欲望を満たすことだけが、真に人間の喜びなのさ」
「僕と君とは違う!」
「どう違う?こんなにしておいて」
頭を上げて話すのに疲れて
僕は再びラグに身体を預ける。
「なあ?どう違うのか説明しろよ……」
そしてゆっくり腕を開いて
まだ目を覚まさない薫の裸体にそっと手を触れた。
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