84人が本棚に入れています
本棚に追加
「いいよ。僕のせいでいい。だから教えろよ――あんたの欲望とやら」
開き直ってラグの上に大の字で身を投げた。
僕は寛容なんだ。
特に欲望というやつには――。
ルカは僕らの傍に屈みこむと
恐る恐るといった様子で薫に触れる。
「どうして薫お兄様は目覚めない?」
ルカの指先は震えながら
毒林檎を食したみたいに眠りこける白雪姫の唇をたどった。
薫はあてがわれた指先に反応し無防備に唇を開く。
今にも指しゃぶりしそうな赤ん坊みたいな顔をして。
「薫くんには……抵抗しないよう薬を盛ったから……」
「へえ。何の薬?」
ルカが焦点の定まらぬ瞳で告白する。
「僕の言うことを聞く薬……欲望のまま拒めなくなる薬……」
「ふーん。そんないいものがあるんだ」
薫はまだ身動き一つしないけど
僕の身体はもうだいぶ自由がきくようになっていた。
ラグマットの上でうつ伏せに寝返ると尋ねる。
「それで?ルカ――薫お兄様を意のままにしたら一体何ができる?」
最初のコメントを投稿しよう!