episode246  聖なるローブの下

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「考えてもごらんよ。僕がどんな了見で君の所へ来たのかさ」 「少しでもいい人間になりたい、だったね」 「僕から悪意を吸い出して昇華すると君は言った」 ルカは苦し気に 手で顔の半分を覆って首を振る。 「ああ。たしかにそうだ。悪意を昇華してやる代わりに僕はほんの少し血をいただく。大概の人間なら一度か二度、それですむ。誰も傷つかないし僕もそれ以上は望まなかった。ただ君の血は――」 「淫らで欲深いコウモリの血?」 「己の悪癖を人の所為にしたことはない。ただ……抑え込めなくなった。君の血を飲んでから僕は何度となくこの場面を夢に見た」 この場面――。 裸の僕と薫を見下ろすルカ。 「欲しいのは薫の血か?」 僕はもう共犯者のようなていで 声を潜めてルカに尋ねる。 「それもある……」 ルカは否定しなかった。 「でもそれだけじゃない」 「それだけじゃないって?」
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