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「いいか、僕がずっと求めてきたのは――自分の中にある善と悪との融合なんだ。僕は聖職者である――と同時に罪深い吸血症でもある。僕は善として生きたい。君と同じようにそう思っている。だけど我慢ができない。仕方ないよな、僕らの欲望は常に善良な心より強いんだ」
ルカは突如、学者然として語りだした。
僕は半分上の空でまだ薫の裸体を見つめていた。
僕の知らない身体。
この機を逃せばもう二度と
手には入らないかもしれない欲望の対象として――。
「つまり僕は融合した君らの血をいただきたい」
ルカの言葉が熱を孕んで僕を焚きつける。
「融合した僕らの血が欲しいって?君、そう言ったの?」
「ああ、そう言ったんだ」
彼は僕の目線まで屈んで恍惚とした目で訴えた。
「彼の血を飲み、君の血を飲み、それからずっと考えていた。実行に移すのは今しかない。君もそうさ――」
「僕?」
「ああ。君の身体は欲深い。今すぐ彼が欲しいんじゃないか?」
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