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「分かりました――」
言うしかないだろ。
この際。
「だけど今のルカを見てあんまり驚かないで……」
ま、僕が壊した吸血鬼のなれの果てを薫に見られたとしても。
お兄様たちにばれるよりはずっとましだ。
「何が言いたい?」
「薫お兄様がショックを受けるんじゃないかって心配してるんです」
薫は鼻で笑ったが
無理しているのは一目瞭然だった。
「とにかく今夜だ」
「はい」
言い残すと振り返りもせず
薫は静かに部屋を出て行った。
それにしても会いに行くと言い出すなんて――。
もしかしたらルカだけじゃなく
こちらにも執着はあるのかもしれない。
その繊細な背中の線を見ながら
僕は何となくそう思った。
僕が言うのもなんだけど
共依存というのは相当根深いものだから――。
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